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高級な米の価格は安い


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【高級米は米自体が安いから安い】

魚沼産など高級ブランド米は一般に高いという印象がありますが、よく考えると実はそうでもありません。 それは米自体の価格が安いからです。

【米は抜群に保存性が良いという、あまり類をみない特徴があるために、高いと誤解する】

米は抜群に保存性が良いという、他にはあまり例を見ない優れた特徴があります。この特徴から 利用する側は一度に買える量を多くするすることができるため、無意識に、買うときの出費で比較して しまい、高いと感じがちになる傾向がありますが、米の値段は決して高いものではなく、むしろ安い のです。

【米一杯当たりの価格は高級米でもたったの40円】

米が安いことは米一杯あたりの値段を考えてみれば明らかです。今、市場を流通している最も安い 米の相場は2000円/5kg(国産米をこの値段で販売出来ることが私には不思議に感じる部分もありますが)程度と思われますが、1合当たりの値段は60円、米1合で茶碗約3杯分であることから 、一杯あたりの値段はたったの20円にすぎないのです。これが魚沼産コシヒカリになったところで 値段は倍程度ですから40円に過ぎません。

【ジャガイモ1個50円、魚沼産の米一杯40円と言う現実】

スーパーでごく普通のジャガイモが1個50円で売っている時代に、高級米が一杯たった40円に過ぎ ない。これが高級米が安いといった理由です。いわゆる高級ブランド米は高級ブランドという表現を 使うことが多いため誤解を与えていますが、一食で多大な出費差を伴う高級和牛等とは性質の異なるものなのです。

【食料構成比で見ても米の出費は多くない】

その上、今では毎日、必ず朝昼晩に米を食べる人が減って きています。例えばそれは、5kgの米を買ったとしても数日で米びつがカラになることがなくなって きていることを意味しています。米の消費がこれ以上減ることは健康面から考えても決して望ましいことではありま せんが(米を主食としていないアメリカを例にとっても米の消費は、1人当たり年間、85年の8kgから93年には13kg と、日本とは全く逆で急激に増えつつあります。これは東洋系人口の増加と日本型の食生活を評価していること の表れであると考えられます。)、5kgの米が今では昔に比べかなり長い間、米びつに入っている。という ことはつまり、1日当たりの米の出費額が減り、決して食料支出に占める米の割合が高いわけではない ことを表しているのです。 FAO、農水省の資料でも99年の食料消費の構成比は主食であるにも関わらず米は24.4%に過ぎ ません。米が安いといった理由がお分かり頂けると思います。

【コストパフォーマンスに優れる】

また、米は万一の時の備蓄食糧としても威力を発揮します。余分に置いていても 、抜群に保存性がいいため、うっかり痛めてしまい使えなくなることはまずないし、それどころか 置いておけばなにか起きた時の非常食を兼ねる事が出来ます。その上、高級米はおいしいのです。 米はコストパフォーマンスという点でも秀でているのです。

【外国産との比較】

それではよく言われる、外国産に比べて国産の米は異常に高いという噂について考えてみましょう。

【家計に占める食料支出の割合は他の先進諸国と同水準】

先ず、本当に日本人は食料に多大な出費を強いられているのかどうかについてですか、実は そんな事はありません。総務省統計局編の世界の統計2003に家計消費支出の割合を示すグラフ が出ていますが、日本の家計支出のうち食料に占める割合は25%弱ですが、これは 20%弱のアメリカより少し多い程度、カナダ、イギリス、イタリア、ドイツとほとんど一緒です。 日本の農産物はとてつもなく高くそれが家計を圧迫しているという印象を与えるコメントが最近、 目立ちますが、私達は諸外国に比べて多大な食料出費を強いられている訳ではないのです。 先ずはこういった事実があることをよく認識する必要があるでしょう。

【輸入価格では安いがこれは私達の食卓に届く価格ではない】

そして米です。日本の米は高いという声もありますが本当にそうでしょうか?ここで話題に上がることの多い アメリカ産との比較をしてみたいと思います。確かに米の輸入価格で 比べれば高いことは高いです。96年の平均輸入価格は676ドルですから当時の為替レートで換算すれば アメリカ米は5kg当たり320円となり確かに安い。しかしこれはあくまで輸入価格なのです。 消費者の食卓に届く価格では決してありません。現にアメリカ国内の小売価格で見ると日本の米とは異なる 長粒の米ですら総務省の99年のデータでは当時の為替レートで換算すると倍の644円となっています。 このアメリカ国内のしかも長粒の小売価格の平均値を見ただけでも、多くの事が高コストな日本に おいて、驚くような低価格が実現できるとは思えません。また、何らかの登録、制度的なものが影響する 事も考えられるかもしれません。因みに現在では国が示す一定の条件を満たす政府指定輸入業者などが あります。

【米の質とは関係ないコスト】

もう一つ補足しておきます。私の知る範囲で列記すると、着払いなら船の運賃、保険料、通関料、植物検疫料、検数料、 検量料、残留農薬検査料、港湾荷役料、もしフリータイムを 過ぎれば港湾使用延滞料、保税倉庫までの運搬料、倉庫保管料、と港湾付近で行われるだけでも これだけのことに料金がかかります。その上、日本の主食ということで万全を期すためなのでしょうが、 他の食品よりも動員する人の数が多かったりします。ただ、このあたりのコストについて一回の船積みが 2万トン程度の規模で運搬されるのだから、キロ当たりに換算すれば、たかが知れている だろうと言われれば、それをむきになって否定しようとは私も思いません。しかし、 どうしても気になってしまうのは、ここでかけられている金額ではなく(とはいえ相対的にではなく 金額だけ聞くと相当高いという印象を受けてしまうが)、コストの 種類です。その殆どは例えば、米の生産力を上げるとか、食味を向上させるとか、米そのものの質を向上させる 目的でかけられているものではありません。

【米を輸入して本当に驚くほど安くなるだろうか】

現行の社会制度のまま米が輸入されたところでそれほど大きな恩恵を消費者に与えるとは 私には思えないのです。その理由の一つが小麦です。小麦はすでに9割弱を日本では輸入にたよって います。その輸出価格は高く見積もっても300ドル/トン程度でしょう。これを107円位でドルに換算 すると32円/kgとかなり安いのですが私達がスーパーで見かける小麦の値段は200円/kgと6倍以上 もします。これを仮に先程の米の価格に単純に当てはめてみれば320円が1920円と14年産の 国産米の最安値と同じくらいになってしまいます。麦の価格差をそのまま米にあてはめるのは少し 乱暴かもしれませんが、米だけを単純に現行の社会環境のまま輸入してみたところで果たして私達、 消費者に目に見えて大きな恩恵があるのかどうか私には疑問なのです。この話を聞けば「小麦は既に関税化 されているだろう、今は関税が高いからだ。」という声もでるかもしれません。しかし私の知る限り ではアメリカ小麦だけでもその輸入量の多くを占める数百万トンが政府の手で「無税」で輸入されているのが現状なのです。

【為替レート】

またこんなデータもあります、大手商社が海外駐在員に米の価格についてアンケート(1986年) 調査をおこなっているのですが、その結果が(社)全国食料振興会 企画、編集の『データブック 世界の米 農文協』 に掲載されているのですが、このときの北米価格は1217円/5kgであり、99年の640円/kgとは 倍近い開きがあります。これは何故なのか、おそらくプラザ合意の前後では為替相場が大きく変化 している為ではないかと思われますが、このように社会情勢の変化で価格が一変してしまうことだって あるのです。ここで示している価格差は当時の為替レートでドル換算すればほとんど解消してほぼ同じ 金額になるでしょう。これは米国農業の効率化が計られ、質や生産力が著しく向上したから 米の値段が下がったというわけではないことを意味しています。

【実はアメリカの米だって高い】

因みにアメリカ米の676ドルという値段は国際的に安いのかと問われれば、実は高いのです 。同じ96年当時で比較してみるとタイ産うるち米は456ドルです。また中国産の米も 安くなっています。そしてもちろんこういった背景からアメリカ にもちゃんと補助金制度は存在しています。なにか日本の農家は補助金づけでいい思いをしている というようなコメントもあちこちで見かけますが、アメリカにも補助金制度はあります。 そしてここが重要なのですが私には日本で本当の意味で作物生産をしている農家が十分な補助金の恩恵 を受けているようにはどうしても思えないのです。補助金の問題はもっと農家の実業とは別の所に あるのではないでしょうか。それでもアメリカ米が 話題に上がることが多いのはやはり巨額の貿易赤字の影響があったからでしょう。

【輸入米は別に安くはない】

さて、長くなりましたが結論です。仮に流通コストを考えれば、高コストの日本では到底無理なの ではないかと個人的には思いますが、百歩譲って輸入米が5kgで1000円となったとしましょう 。そうだとしても米は冒頭に述べたように計算すれば一杯あたり10円なのです。缶コーヒーが一本120円の 時代に魚沼産クラスの高級といわれているお米に比べて30円しか差のないことにどれだけの意味が あるのでしょうか。その程度の差であるなら私なら迷わず、米以外の部分にコスト の比重が大きい商品より、商品価格に米そのものの品質が反映している産地ありのままの日本米を選 ぶでしょう。食の履歴ひとつとってみても、先程述べたように輸入米は港湾付近だけですらあれだけの 人を要するのです。ましてや積み地のことは消費者である私達にはさっぱり分かりません。さっぱり分 からない食品とはっきり分かる食品の差がたった30円にすぎないのですから。

【農業は気象や土地そのものが生産物の原料であるということ】

仮に私が輸入米を考えるなら、米だけでなく、現状の高コストな社会環境が一変した時に、初めて イメージするでしょう。しかしそうなったらその時に外国産米が今のまま安いかどうかは分から ない気がするし、人間が生きるために必要な食料を担う農業が猫の目のように変わる為替レートによりしょっちゅう 産地の転換を強いられるというのにはちょっと無理があるかなぁーと言う気がします。わたしがそのよ うに考えるのはやはり農業は工業とは違い土地や気象そのものが生産物の原料になっているという事実 があるからであり、私達が生物である以上、食料消費もまた物質循環の一部として組み込まれて環境を 形成していると考えているからです。

(03/10/22 追記 東)

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