イネという食用作物の果実。ただし米は子房壁が発達していないため果物の果肉のようなもの はなく、米の主要な可食部は種子の部分となる。そして米は粒のままおいしく食べられるという特徴を もっている。「種子とその部分を粒のままおいしく食べられること」この事実が普段見落としがちな様 々な点で食品としての驚くべき優位性を「米」にもたらしている。
籾(もみ)は果実であるが果実の中の分類では穎果と呼ばれる。穎果とは果皮と種皮が合着した果実を 指す。玄米は籾(=穎果)から籾殻(=穎)を取り除いたもの。白米は種子中の湖粉層から内側の胚乳 部分でデンプン貯蔵組織となっているところ(種皮と胚は含まれない。ご飯は米を炊飯した状態をいう。
実ともいう。花が受粉、受精した後、主として雌しべの子房が発達してできるもの。子房の内部では
胚珠が成長して種子をつくる。果実は種子を色々な所へ分散させる散布体として、種子と共に大切な働
きをしている。例えば果皮が厚く多汁質のものを液果(果物として人に利用されるものも多い)という
が、この液果は動物に食べられることが多いが、糞と共に種子が出て種子の散布に役立つ。
イネは子房壁が殆ど発達せず果皮と種皮が合着している。このような果実を穎果と呼ぶ。
子房中の胚珠が受精後、親植物から養分を吸収しながら生長したもの。幼植物である胚と発芽の際、胚
の栄養源となる貯蔵養分とそれらを保護する種皮からなる。種子は種族を分散させる散布体として、ま
たを発芽させ次の世代を担う新しい植物体を生んで、種族を維持する器官として重要な働きをしている。
米粒および飯にはタンパク質、脂質、炭水化物、灰分、無機質、ビタミン等が含まれている。このうち 70%以上を占めるのが炭水化物のデンプンである。これは米粒の主要な可食部が種子が発芽するた めのエネルギー源となるデンプンの貯蔵組織にあたるためである。水分は15%程度と低いため米は保 存性が抜群に良い。
タンパク質は多いと食味を低下させる。デンプンはアミロースが多いと粘りを低下させる。無機質のう ちMg/K値、Mg/K・N値は粘りと関係があり、この値が高いと粘りが強い。
炭水化物とは糖質のことである。多糖としてエネルギー貯蔵物質となるほか、DNAやRNAの構成成 分でもある。一般的にCm(H2O)nで表される。単糖はそれ以上加水分解できない糖の基本単位。多 糖は多数の単糖がグリコシド結合で重合したものであり、植物細胞のデンプンや動物細胞のグリコーゲン は生体内の貯蔵多糖である。炭水化物は食料中のエネルギー源となる成分である。
植物における貯蔵形態の一つであり、植物の細胞中でデンプン粒として存在している。その成分はア ミロースとアミロペクチンで両者が複合体をつくってデンプン粒となっている。イネ、コムギ、トウ モロコシ等の穀類の種子の成分では70%以上がデンプンである。種子のデンプンは幼芽と幼根が種子 の皮を突き破って発芽するためのエネルギー源として使われる。このように幼植物は葉の光合成により エネルギーを自分で調達できるようになるまで成長に必要なエネルギーを胚乳や子葉の養分に依存して いる。
食料を構成する主要成分である炭水化物、脂質、タンパク質を三大栄養素とよび、主にエネルギー供給 の上で重要である。
水分子は酸素1原子と水素2原子とが共有結合したものである。水はその特異な性質から生命にとっ て重要な意味を持っている。ほとんどの生物で水の含量は全体重の70%以上であり、高い例では90 %を超えるものもある。生命は多種多様な化学反応によって営まれているが、ほとんど全部が水を溶媒 とする反応である。水がないところではこれらは進行しない。例えば種子は水分含量が10数%しかな いため細胞内の化学反応はほとんど停止した状態にある。種子の主要な部分に当たる米の保存性が良い のはこのような理由による。
農業に利用するために、人の保護管理のもとにある植物。農作物と園芸作物がある。その種類は 世界に3000以上ある。
食用作物(主食および準主食となる作物)、飼料作物(家畜の飼料となるもの)、緑肥作物(育てた作物体を田畑の土中に入れ 腐らせ次に植える作物のための肥料とするもの)、工芸作物(収穫物を加工原料とするもの)の総称
禾穀類ーイネ、コムギ、オオムギ、トウモロコシ、アワ、ヒエ、キビ
豆類ーダイズ、アズキ、インゲンマメ、ササゲ、ソラマメ、エンドウ、ラッカセイ
その他穀類ーソバ
いも類ージャガイモ、サツマイモ、ナガイモ、サトイモ、キクイモ
野菜、果樹、草花など食生活において副食として、あるいは観賞用に利用されている作物。
おいしさとは五感の総合的な感覚であるといわれている。
五感とは味覚(狭い意味での味)
嗅覚(食べ物を口に近づければそのにおいが鼻を刺激する)
触覚(テクスチャ、温度、のどごし、胃の感覚)
聴覚(調理する音、かむ音)
視覚(色、形、つや、きめ) の五つである。
味物質は舌の味細胞膜に吸着し、電位に変化を起こし、味神経に電気的なインパルスが生じる。これが 大脳に伝えられ味が感じられる。味は甘、酸、苦、塩の四つであるとされていた。アミノ酸等のいわゆ るうまみが独立した味であるかは諸説ある。辛味、渋味も重要であるがこれらは味細胞以外の神経を刺 激すると考えられており、味感覚に入れないことが多い。
私達は米のおいしさを味とイネの育ち方の二つの要素が複合したものと考えている。
自分の好みに合致した味を遺伝的に備えている品種をおのおのの消費者が選択していること。米粒が実 るイネがその品種にとって最適な自然環境で育てられていること。その耕地が熱心な生産者により管理され ていること。この3点が満たされていることを確認した上で選択した米がその人にとって一番おいしい お米ということとなる。
健全に育つ(実りの良い)米はおいしいと感じるものである。米を作る場所は気象条件に深く関連し ている。農業は工業と違い土地や気象条件その ものが原料となる。従って実りの良い米を産出するには、耕地となる場所も重要な要素となる。イネの 登熟期における気温の日較差が大きく、昼間の日照時間が長い地域程、実りの良い米が出来ると言える。 (ただし栽培環境というものは耕地、気象、そこに生息する生物群が互いに影響しあって成り立ってい るため、栽培地の気象以外の要素も最適な状態に保たなければやはりおいしい米は産出されない)
作物を分類するときの実用的な最小単位であり、植物分類学上の区別ではない。例えばイネの種類 でも穂の出る時期、丈、耐病性等、形や性質が違うものがある。これらの違いをもとにして、栽培や利 用をするうえで同じなかまとして取り扱うほうがよい個体の集団を品種という。よって全ての品種が食 味向上を目的としているわけでもないということが言える。わが国では昔から1000品種以上が栽培 され現在でも200品種ほどある。
平成元年度より実施された農林水産省のプロジェクト研究「需要拡大のための新形質水田作物の開発( スーパーライス計画)」の成果として生み出された品種。粘りの強い米を好む傾向にある日本人に 親しまれてきたコシヒカリよりさらに強い粘りがあり、冷めても硬くならないことから「コシヒカリを 超えた米」として紹介される事も多い。遺伝的特性からミルキークィーンはあらゆる産地のコシヒカリ より粘りがあり、冷めても硬くならず、老化しにくいということが言える。
消費者の嗜好や調理用途などに対応した品種の多様化を重要視した農林水産省が米のもつ可能性を 多面的に引き出す事を目的とし、平成元年〜6年の間、実施されたプロジェクト研究。ミルキークィー ンに代表される低アミロース米、胚芽の大きさが通常品種の3倍以上ある巨大胚米、低タンパク米等 様々な新しい形質をもった品種が生み出されている。
米の主要成分であるデンプンにはアミロースとアミロペクチンがあり、アミロース含量が低い品種 程、粘りが強くなる。また日本人は粘りの強い米を好む傾向にあるといわれていることからアミロース 含量の少ない米がおいしい米と評価されることが多い。一般の粳米は17%〜23%にある。例えばコ シヒカリはこの範囲内で含量が低い方に属していたため他の品種に比べ長年おいしいと言われていた。 しかし、現在ではアミロース含量が10%前後のミルキークィーンというさらに粘りの強い品種が登場 してきている。
魚沼地域は良い米を産出すると言われ、いわゆる”米所”と呼ばれる地域の代表であり、そこで産出さ れたコシヒカリは高値で取り引きされている。消費者にとって前述したおいしい米の3点に合致した場 合、魚沼産コシヒカリはその人にとってこの上なくおいしいお米となるだろう。しかし魚沼産コシヒカ リをひとくくりにして誰にとっても日本で一番うまい米であると決めつけてしまうのには無理がある。 また、魚沼で産出されたコシヒカリがすべて均一な食味を有しているとも言えない。
(財)日本穀物検定協会が毎年発表(官能試験による)している。参考程度にはなるが、消費者が おいしい米を購入する際の手助けにはならない。理由は米販売の店頭に並んでいる多くの銘柄がこのラ ンキングでは最高評価の特Aを獲得しており、最高ランクの特Aという評価がある銘柄に特別に優れた 評価ではないため。
米の食味と成分との相関関係を官能試験の結果から導き出し、近赤外分光法により成分分析を行い、そ の結果に基づき食味を数値化することが可能な食味計が出現している。数値が高い程食味が良いとされ ている。一般的には食味値75以上の米はかなり食味が優れていると判断しても良いのではないかと思 われる(思われるとしたのは食味計により同じ検体でも結果が異なる場合があるため)食味計は米の成 分のうちの食味に関係する成分(水分、アミロース、タンパク質、脂肪酸度)を幾つか測定し、官能試 験の結果との相関関係に基づいた重回帰式に当てはめて食味を数値化している。しかし同じサンプルで も計測器によって数値が異なる場合がある、ミルキークィーンに計測器が対応していない、計測に使わ れている成分数が少なく、必ずしも官能試験結果と一致するとは限らない等の欠点もある。
どんな米をおいしいと感じるかは人それぞれ違っていて不思議はないし、人間にはそれぞれ個性があるの だからむしろその方が自然である。よっておいしい米は客観的な評価や宣伝文句にたよるのではなく自 分の五感を信じて主体的に選ぶのが一番である。そこに食材選びの楽しさがあるのではないか。洋服や アクセサリー等を買ったときと同様、自己の判断でおいしい米に出会った時は意外に大きな満足感を得 られるものである。
食品にかかわる安全性には食品を口にしたときの人体へ直接影響するもの、つまり食品成分に対する 安全性と、食品が生産や加工、流通の過程で環境に何らかの影響を与えそれが人への害につながって行 くような間接的なものに対する安全性がある。問題となっている簡単な例を挙げると前者については食 中毒や食品の成分の毒性に対する問題がある、後者は食料を安定的に供給するための食糧安全保障の問 題や生活活動の廃棄物が焼却されて発生するダイオキシンの問題等がある。
私達が日常食べている食物には、多くの毒性物質が含まれている。それらをその起源により分類する と「自然毒」「汚染物」「誘起性物質」になる。「自然毒」は特定の食品に固有に含まれているもの。 「汚染物」は食品が生産される環境中に存在し、食品に混入してくるもの。「誘起性物質」とは本来無 毒の食品成分が調理、加工の処理により毒性物質にかわるものである。
人間にとってもっとも安全をおびやかすものは、実は太陽の光と空気である。太陽光に含まれる紫外線 はDNAに損傷を与えてガンの引き金になる。空気に含まれる酸素は体内で一部が活性酸素に変わり細 胞を損傷し、老化の引き金になる。しかし私達は普段呼吸をしながらそんなことを常に考えてはいない し、言うまでもなく太陽も空気も生命に決して欠くことのできないものである。このように私達が生活 するためには毒性物質から完全に逃れることはできないのである。安全性を考えるに当たってはまず このような視点に立つ事が必要であり、その上で「安全性に万全を期すということはリスクをできうる 限り減らすことである」と認識すれば、安全性のために何を避け、何を選択すべきかが自ずと判断でき るようになる。
農薬は農作物の病害虫や雑草を積極的に防除し、あるいは農作物の生理機能を調整して農業の生産性を 高めるために使用する薬剤である。農薬は人畜や他の有用動物に対しては無毒であることが理想である。 しかし、実際に用いられている農薬の多くは、多かれ少なかれ人畜やその他の生物に対して何らかの毒 性を持っている。ただし化学合成されている農薬は危険であり、天然物は安全であると言うことではな い。私達が日常、食べている食品の中には多くの毒性物質が含まれている。ただそれらはごく微量 であるために問題視されていないだけなのである。農薬も毒性試験により実験動物が一生涯にわたって 摂取し続けても何ら影響のでない量に100分の1を掛けた数値等をもとに安全使用基準が決められてお り、この基準を守られて使用される限りは安全性は確保されると見て良いと思われる。大切なのは極力 使用量を減らすと同時に収量を上げ、その栽培環境を物質循環により維持すると言うことである。(使 用量ゼロは理想ではあるが農薬をゼロにしても前述したように食品自体の毒性はゼロにはならないので ある。また同時に収量を上げるという事は極めて難しい。農薬は危険だからなにがなんでもゼロにしな ければならないと主張することはなにか太陽の光や酸素が危険だと主張するのと似通ったところがある)