風さんとタンポポさん

タンポポさんはひとつの場所にはじっとしていられません。

いつも別の国に行くことを夢みているのです。

白くなって羽のはえたタンポポさんは風さんに運ばれて新しい国に行きます。

 

「風さん、私は南の国で暮らしたいと思っています。南の国までつれていってもらえませんか」

「はい、いいですよ」

風さんはタンポポさんを南の国まで運びました。

「タンポポさん、南の国につきましたよ」

風さんはタンポポさんを降ろしました。

「どうもありがとう、風さん。

でも、南の国に着いたら、なんだか眠たくなっちゃった」

「南の国はいま冬ですから眠いのですよ。

私が春を運んでくるまで、おやすみになるといいですよ。

春を運んできたときに起こしますから」

「本当、風さん。ありがとう。・ ・ ・ ・ 

・ ・ ・ ・ 

すやすや」

風さんにお礼をいうとタンポポさんはすぐに眠ってしまいました。

 

しばらくして、春がやってきました。

風さんが春を運んできたのです。

タンポポさんはまだ眠っています。

「すやすや。すやすや」

「タンポポさん、タンポポさん、春ですよ」

風さんはタンポポさんを起こしました。

「ありがとう風さん。

春を運んできてくれて、

私を起こしてくれて」

 

タンポポさんはこれからしばらくこの国で暮らします。

別にさみしくはないのです。風さんがいるから。

「風さん、こんど私が別の国に行くときにはまたお願いしてもいいですか」

「いいですよ。いつでも呼んでください」

「ありがとう風さん」

「次はどこの国に行こうかな」

 

 

おわり